新規抗うつ薬ザズベイ(ズラノロン)について

  • 2026.10.28

新規抗うつ薬ザズベイ(ズラノロン)について

みなさんこんにちは。

三鷹駅こころえがおクリニックの山田佳幸です。当院はJR中央線 三鷹駅南口徒歩3分の東京都多摩地区にある精神科・心療内科を標榜しているクリニックです。三鷹市、武蔵野市の方をはじめ、周辺の市区町村の方や、神奈川県、埼玉県にお住いの方々からも来院いただいております。


急に秋めいてきて、鈴虫の音が心地よく感じるようになってきたと思っておりましたが、急に寒くなりましたね。日々何を着たらよいか迷ってしまいます。

食欲の秋ですね。皆様好きな果物はありますか?

私は長野県出身ということもあり、リンゴをよく食べます。

これまではシナノゴールドという品種が好きでした。しかしここ数年でリンゴの果肉に赤みが入ったリンゴが売り出されるようになっております。長野県のスーパーや、稀に東京の果物屋さんなどで売っていることもあります。

おすすめはムーンルージュという品種のリンゴです。外見は黄色い皮ですが、切ってみると果肉が赤く、シャキシャキしており、とってもおいしいです。もし見かけたらぜひ買ってみてください。リンゴを切った時の果肉の赤さにびっくりすると思います。


では、本題に入りたいと思います。前回は不眠症治療薬のクービビック・ボルズィについてについて説明させていただきました。

詳しくは前回のブログをご覧ください。

不眠症治療薬のクービビック・ボルズィについて – 三鷹駅こころえがおクリニック ブログ


今回は「新規抗うつ薬のザズベイ(ズラノロン)」について説明をしてゆきたいと思います。ザズベイは既存の抗うつ薬と異なり、14日間の内服にて効果が出る可能性があるという、これまでにない抗うつ薬になります。既存の抗うつ薬との比較をしながら説明をしてゆきたいと思います。


★抗うつ薬「ザズベイ」とは?★

★特徴・注意点、これまでの抗うつ薬との違い

ザズベイは2026年3月に発売された新規抗うつ薬です。三鷹駅こころえがおクリニックでもザズベイの処方を行っております。

これまでの抗うつ薬は十分量を連日内服し、3~5週間ほど時間が経過してからじわじわ効果が出てくるものでした。このため、効果が出るまでに十分な時間が必要であるため、非常にもどかしく、内服を開始してにその抗うつ薬の効果が不十分な場合や、副作用で合わない時は、別の薬剤に変更し、再び3~5週間継続し・・・ということをしなければなりませんでした。

しかし、ザズベイという抗うつ薬は、これまでの抗うつ薬とは異なるタイプの薬剤になります。どのような仕組みで効果が出るのか、ザズベイの特徴、服用する上での注意点について説明をしてゆきたいと思います。


★抗うつ薬「ザズベイ」の特徴

これまでのうつ病治療薬との大きな違いは、「服用期間」、「効果出現の速さ」です。

先ほども述べましたが、これまでの抗うつ薬は毎日決まった量を継続して内服しなければならない薬剤です。そして効果が出るまでに3~5週間ほどの時間が必要でした。

これに対し、ザズベイは「1日1回夕食後、14日間の服用」といった薬剤になりなります(それ以上継続して内服することはできません)。

内服を続けることで数日~2週間程度で気分の落ち込みなどのうつ病由来の症状が軽減される可能性があります。

ちなみにアメリカでは産後うつ病に対する適応が通っております。


★これまでの抗うつ薬との作用機序の違い

では、なぜザズベイは短期間で抗うつ効果が認められるのでしょうか。

まずはこれまでの抗うつ薬の効果の出る理由を説明します。

*これまでの抗うつ薬(SSRIやSNRIなど)の働き

これまでの抗うつ薬は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質のバランスを整えることを目的とした薬剤になります。

上記の神経伝達物質は、飲み続けることで脳内の神経細胞の隙間で少しずつ濃度が高まり、神経の受容体が少しずつ変化していくことで効果を発揮します。そのため、お薬を飲み始めてから神経系が順応して症状が軽くなるまでに、どうしても数週間のタイムラグが生じてしまいます。

*ザズベイの働き

一方、ザズベイがターゲットにしているのは「GABA(ギャバ)受容体」です。

GABAは、脳の過剰な興奮や緊張、不安を抑える「ブレーキ」のような役割を果たしている神経伝達物質です。うつ病や強いストレス状態に置かれている場合、脳内のGABAの働きが低下し、「ブレーキが効かず、脳のエンジンが過剰に空回りして疲弊している状態」になっています。

ザズベイはこの脳の過剰な神経活動を直接的に鎮め、休ませる働きがあるため、内服開始後、数日〜2週間ぐらいで、落ち込みや不安感を和らげることが期待できます。


★ザズベイの飲み方

ザズベイは効果を十分に発揮させ、安全に服用していただくために、用法・容量、内服時間、投与期間が決まっております。三鷹駅こころえがおクリニックでも処方する際には、以下の点を必ず説明をしております。

*用法・用量

ザズベイは「1日1回30mg(30㎎錠を1錠)」を服用していただきます。30㎎以上の量を処方することはできません。

また、基本的には他の抗うつ薬との併用はできない薬剤になります。

* 内服時間

ザズベイは「夕食後」の内服になります。

臨床試験のデータでも、空腹時に服用した場合と比較し、食事の後に服用した場合では、薬剤が血液中に吸収される量(最高血中濃度)が約4倍も高くなることが分かっております。

つまり、空腹時に内服すると十分な効果が出ない可能性があります。連続して14日間しか飲めない薬剤のため、夕食後に内服することを遵守しましょう(個人的には食後であれば夕食後じゃなくてもよいような気もしますが、おそらくは副作用で眠気が出る可能性があるため、影響が最小限で済む夕食後になったのかもしれません。私の勝手な推測です。)。

*投与期間

ザズベイは連続して14日間しか飲めません。

「効果があったから継続して飲みたい」、「予備で少し多めに持っておきたい」といった希望があっても、14日分しか処方することができません。

14日間の内服終了後は、症状がどの程度改善したかを評価します。病状が改善していればそのまま投薬は行わず、経過を見ます。もし病状が悪化した場合は、前回の服用終了から6週間以上間隔があいていないとザズベイの処方はできません。このため、6週間待つか、病状の改善が乏しい場合は、他の抗うつ薬等に変更し、治療を行うこともあります。


★ザズベイの副作用について

ザズベイの主な副作用として、以下のような症状が報告されています。

脳の興奮を抑えるGABAに作用するため、特に「眠気」や「ふらつき」が生じることがあります。

 ・傾眠(強い眠気):約20%

 ・めまい・ふらつき:約12.6%

 ・その他:頭痛、吐き気、下痢、身体のだるさ(倦怠感)など

眠気が副作用としては発言頻度が一番高いため、不眠がある方はうまくいけばザズベイの内服にて不眠の改善が期待できるかもしれません。


★注意点

ザズベイを14日間内服すればうつ病の症状が完全によくなるということではありません。症状がある程度改善した後の話になりますが、うつ病発症のきっかけとなった環境的ストレスや疲労、考え方の癖など、不調になりやすい誘引がある場合は症状が治りにくことがあります。また、うつ病が再発してしまう可能性もあります。すべてを改善することは難しいですが、取り組めるもの、変えることができるものは改善を図ることが望ましいと思います。

一人ではどこから対応すればよいかわから迷う場合もあります。診察時に質問をしていただくことや、三鷹駅こころえがおクリニックでは(自費にはなりますが)カウンセリングも行っております。いずれにせよ山田までお尋ねください。


★まとめ

今回は、「ザズベイ(ズラノロン)」について解説させていただきました。

これまでうつ病の薬物療法は、「継続して内服する必要がある」「効果が出るまで時間がかかる」ということが難点でした。しかし、ザズベイのように「短期間でうつ病症状の改善が期待できる」という新しい治療の選択肢も増えたため、治療の幅が広がっております。

もちろん、従来の抗うつ薬は悪いお薬ではなく、現時点では圧倒的にザズベイ以外の薬剤を投与している方のほうが多いです。しかし、選択肢が増えたことでうつ病のつらさが少しでも早く良くなるよう対応がしやすくなりました。

 ・「気分の落ち込みが激しく、毎日がつらくてたまらない」

 ・「夜眠れず、焦りや不安ばかりが募ってしまう」

 ・「薬を飲むのが怖くて受診を先延ばしにしていた」

もし、このようなお悩みを抱えていらっしゃる場合は一人で抱え込まずに、三鷹駅こころえがおクリニックにご相談ください。


参考文献

 ・ザズベイ®カプセル30mg 添付文書

 ・Inoue T, Kato M, Baba T, et al. (2023). Efficacy and safety of zuranolone (SAGE-217/S-812217) in Japanese patients with major depressive disorder: A phase 2, randomized, double-blind, placebo-controlled study. Psychiatry Clin Neurosci. 77(9): 497–509.

 ・Deligiannidis KM, Meltzer-Brody S, Gunduz-Bruce H, et al. (2023). Effect of Zuranolone vs Placebo in Postpartum Depression: A Randomized Clinical Trial. JAMA Psychiatry. 80(3): 191–200.

・FDA Approves First Oral Treatment for Postpartum Depression (ZURZUVAE Prescribing Information). (2023)

・Althaus AL, et al. (2020). Preclinical characterization of zuranolone (SAGE-217), a selective neuroactive steroid GABA_A receptor positive allosteric modulator. Neuropharmacology. 181: 108333.


以上、今回は「新規抗うつ薬のザズベイ(ズラノロン)」について説明をしました。

次回は・・・・、まだ考え中です。最近ADHDやうつ病の認知行動療法、不眠などに関するアプリでの治療法があるのでそのうちやりたいと思っておりますが、まだ情報収集中です。またそのうちきっとブログに載せます。

Instagramをやっています。お時間ありましたらご覧ください。

https://www.instagram.com/mitaka_kokoro_egao/

皆様の心が少しでも笑顔になりますように。

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