自律神経について

  • 2024.04.11

自律神経について

みなさんこんにちは。


三鷹駅こころえがおクリニックの山田佳幸です。当院はJR中央線 三鷹駅南口徒歩3分の東京都多摩地区にある精神科・心療内科を標榜しているクリニックです。三鷹市、武蔵野市の方をはじめ、周辺の市区町村の方や、神奈川県、埼玉県などからも来院いただいております。


ようやく春らしい気候になってきましたね。私は満開の桜も好きですが、すこし桜が散り始める頃も好きです。

桜も咲き、新しい選択をする方や、進学する方、様々な方で三鷹駅もにぎわっていますね。

私は新しいことは、、、特にはありませんが、2024年6月からの診療報酬の改定についての勉強をしております。年々複雑になっており、まだ正直よく理解が出来ていません。ゴールデンウィーク中にじっくり勉強したいと思っています。


では、本題に入りたいと思います。今回は自律神経についてです。

前回は生活リズム表についてを説明させていただきました。

詳しくは前回のブログをご覧ください。

生活リズム表について – 三鷹駅こころえがおクリニック ブログ (kokoro-egao.net)



今回は自律神経について説明させていただきたいと思います。

まずは自律神経についての説明を行い、その後、自律神経のバランスを整えるための工夫などについて説明をしてゆきたいと思います。


★自律神経について★

自律神経は、生きる上で欠かせない生命活動を維持するための神経です。生命活動を維持しているわけですから、寝ている間も含めて24時間365日、常に働いております。自分の意志でコントロールするとはできません。

心臓を動かす、呼吸をする、血圧の調節、食べ物を消化し、栄養を吸収する、汗をかく、体温調節する、排便・排尿に働きかけるなどは自律神経の働きによって起きています。

●交感神経と副交感神経について

自律神経は交感神経と副交感神経に分けることが出来ます。

この2つの神経は体に対して、全く逆の働きをしており、バランスを取りながら体の状態を調節しています。

  • 交感神経: 「アクセル」の役割。戦う時、逃げる時などに強く働き、心拍数や血圧を上げ、エネルギーを消費するモードに切り替えます。
  • 副交感神経: 「ブレーキ」の役割。寝る、リラックスするときに優位に働きます。勉強や仕事、運動によって消費されたエネルギーを体に蓄え、疲れを取り、元気に活動できる状態に整えて、回復モードに切り替えます。

この2つの神経がバランスを取りながら働くことで、心身の健康が保たれています。

不規則な生活やストレスが多い状況、運動不足の状態などが続くと、いつどのように身体のコンディションを整えたらよいのか判断できず、結果的にどちらの働きも悪くなってしまいます。その結果、だるさ、頭痛、朝なかなか起きられない、眠れないなどといった症状が出現するようになります。俗にいう自律神経失調症です。

*ちなみに、自律神経失調症は自律神経が乱れている状態を指すのであって、厳密にいうと病名ではありません。


★交感神経・副交感神経の具体的な働き★

●各部位の代表的な自律神経の働きは以下の通りになります。

交感神経副交感神経
瞳孔拡大縮小
ネバネバサラサラ
心臓心拍数アップ心拍数ダウン
血圧上昇下降
血管収縮拡張
胃腸活動低下活動活発
膀胱拡大縮小
呼吸促進抑制

★自律神経に影響を来す誘因とその対策★

自律神経のバランスを整えるためにはどのようにしたらよいでしょうか?

1つの対策として、自律神経に影響を来す誘因に対する対策が必要です。

それには生活習慣を整えることが大切です。

ストレス、睡眠、運動、食事生活を気を付けることで、自律神経のバランスが崩れにくくなります。

それぞれについて具体的に説明をしてゆきます。


●ストレスについて

ストレスを感じると、交感神経の働きが優位になります。長時間のストレスは、自律神経のバランスの乱れにつながる可能性が高まります。常に気を張っている状態(過緊張状態)が続くと交感神経が活発に働きすぎてしまいます。この状態が続くと、心拍数や血圧の上昇、頭痛、肩こり、胃腸障害、不眠症などが生じることがあります。

ストレスを解消するために、次のような方法が有効です。

  • 適度な運動
  • 十分な睡眠
  • バランスの良い食事(あまりこだわりすぎないようにしてください)
  • リラックスタイムや趣味などを楽しむ時間を作る
  • 友人や家族、安心できる人と話す
  • 一人で抱え込まず、身近な人、職場の上司、場合によっては精神科・心療内科に相談する。SOSを出す。

これを機に、どのようなことがストレス解消に繋がるか考えてみましょう。個人的にはめったにできないストレス発散法よりも(めったにできないので、きっと時間もお金もかかりますので)、日常生活の中でストレス解消できる身近な方法をたくさん考えてみましょう。私はコーヒーを飲む、映画を見る、ジョギングをする、近くの友人と会食をする、クリニックのお掃除をするなどです。


●睡眠

睡眠不足になると、交感神経が優位になり、副交感神経の作用が弱まります。その結果、心拍数や血圧が高くなり、身体が緊張状態になります。また、睡眠不足はホルモンバランスの乱れにもつながります。睡眠中に分泌されるホルモンには、成長ホルモンやメラトニンなどがあります。これらは体の修復や疲労回復、睡眠の質の向上などに役立っています。睡眠不足になると、これらのホルモンの分泌が減少して、体調を崩しやすくなったり、睡眠の質が低下したりします。

  • 対策としては(当たり前ですが)、十分な睡眠時間を確保することです。
  • では何時間眠ればよいのでしょうか?

厚生労働省が2024年2月に発表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」001237245.pdf (mhlw.go.jp)

では、「これまで明らかになった科学的知見に基づくと、成人に おいては、おおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間と考え られ、1日の睡眠時間が少なくとも6時間以上確保できるように努めることが推奨されます」とされています。

私も診察の中では5-6時間以上の睡眠をとるようにアドバイスをしております。

また、寝るためのアドバイスとして、

・寝る前のカフェインやアルコールの摂取は控える、スマホもブルーライトを発するため、寝る前の使用を控える。

・入浴時にマッサージする、寝る前にストレッチするなど、リラックスできる習慣を行う。副交感神経が優位になりやすいよう、働きかけをする。

これらのことを診察でもお勧めしております。

  • しかし、環境調整や工夫をしても、眠れない、睡眠時間が短い、夜間に目が覚めるなどの改善が乏しい場合は、睡眠薬の使用を検討します。使用する場合は、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を第1選択に選ぶことが多いです。
  • また、メラトニン(脳内で分泌されるホルモンで、睡眠を促す作用があります)のサプリがネットや一部のドラックストアでは販売されているため、睡眠薬に抵抗がある方は、そちらをお勧めする場合もあります。
  • 販売されているネットのサイトは、ここで書くと宣伝みたいになってしまうので、気になる方は診察の時に聞いてください。
  • 何かしらの精神疾患に罹患している場合、自律神経が乱れると不眠が生じやすいため、その際はその疾患の治療も併せて行います。

運動

運動不足は、自律神経のバランスを乱す原因の一つです。運動不足になると、交感神経が優位になり、副交感神経が働きにくくなります。適度な運動を続けることで、副交感神経が優位になりやすくなります。

運動不足が続くと、以下の症状が起こりやすくなります。

・頭痛、肩こり、腰痛、立ちくらみ、身体の冷え、便秘、下痢、不眠、イライラ、集中力低下などが生じることがあります(運動をしないと必ず以下の症状が起こるという訳ではありません)。

運動をする際は、30分以上体を動かす、有酸素運動を行う、普段の通勤や買い物の際に、身体を動かす機会を増やすなどをご検討ください。しかし、中々定期的に30分以上運動をするということはお仕事や家庭のことなどあると難しいと思われます。無理のない範囲で行う、短時間でもよいので続ける、自分に合った運動を行うなど、出来ることから試してみるようにしましょう。


●食生活

食生活の乱れも自律神経のバランスが乱れる誘因となります。偏った食事や刺激物の多い食事は交感神経が優位に働きすぎてしまいます。

カフェインやアルコールの過剰摂取も交感神経の働きが強まりやすくなるため、自律神経のバランスが乱れやすくなります。コーヒーが好きな方はデカフェにするなど、工夫をしてみましょう。

一方で野菜や果物などの健康的な食品は自律神経のバランスを整えることのサポートをしてくれます。

主食、主菜、副菜をバランスよく食べるようにしましょう。栄養の偏り、食生活の乱れが続いていたり、インスタント食品などの摂取が多い方は注意が必要です。

そうはいっても中々バランスのよい食事をとることが難しい場合は、EPA,ビタミンD/B1・B2・B6・B12,葉酸、亜鉛など、日々の食生活で不足しがちな栄養成分をサプリで補うことも1つの選択肢であると思います。

ただ、あまりにこだわりすぎると、肝障害や腎障害など、身体に負担がかかることもあるため、注意が必要です。現在は色々話題になっているので、安心安全なサプリを購入するようにしましょう。

こちらももしお勧めのサプリなど知りたい方は診察の時にお声かけ下さい。


★医療機関への受診について

上記の方法を試しても、自律神経のバランスが整わない場合は、医療機関を受診しましょう。

では、何科に受診すればよいのでしょうか?

まずは、一番つらい症状に対して対応してくれる診療科を選びましょう。

精神的な症状が一番強ければ精神科・心療内科、動悸や血圧の問題などがある時は循環器科、下痢、嘔吐、腹痛など、消化器系の症状が強い場合は消化器科などを受診するよう検討しましょう。

中には、自律神経の症状で精神科・心療内科を受診された方でメンタルの原因でなく、身体の病気にかかっている場合もあります。身体疾患が疑われる場合、当院では採血や心電図が出来るので、所見を確認後、内科など、適切な身体の診療科に紹介をさせて頂くこともあります。


以上、今回は自律神経について説明をしました。

次回は睡眠について説明してゆきたいと思います。

ひっそりinstagramをやっています。ご覧ください。

https://www.instagram.com/mitaka_kokoro_egao/

皆様の心が少しでも笑顔になりますように。

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