精神障害者手帳について

  • 2021.08.12

みなさんこんにちは 三鷹駅こころえがおクリニック(仮)の山田佳幸です。

三鷹駅こころえがおクリニックは精神科・心療内科専門の医療機関です。

今回は精神障害者手帳について説明させていただきます。

障害者手帳には身体障害者手帳、精神障害者手帳、療育手帳の3種類があります。


今回は、精神障害者手帳について説明をします。

★目次★

・精神障害者手帳とは

・対象となる方

・精神障害の等級について

・申請方法(新規の場合)

・申請方法(更新の場合)

・受けることができるサービス・メリット

以上のような流れで説明をいたします。

自立支援医療制度同様、少し複雑な制度ですので、簡単に要点をまとめると以下のようになります。

・精神障害者手帳は精神障害のため、長期にわたり、日常生活や社会生活への制約がある人を対象とした手帳です。

・手帳を持つことで、障害者雇用での就労が可能になるほか、税制の優遇措置や公共料金の割引などの福祉サービスを受けることができます。

・対象となるのは全ての精神疾患であり、発達障害(自閉スペクトラム症や注意欠如多動症)も含みます。

・申請時に精神障害の原因となった傷病について、初めて医師の診察を受けた日から6か月以上経過していなければいけません(6か月以上経過していても、治療が中断されていると期間がカウントされないこともあります)。

・等級は1級が一番重く、続いて、2級3級となります。

・区市町村にて申請をしますが、その際には必要なものの1つとして、医師の診断書が必要になります。

・手帳は申請すれば必ず取れるというものではないので、まずはかかりつけの医師に相談をしてください。

・2年に1度、更新の手続きが必要になります。


もう少し詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

精神障害者手帳とは

精神障害者手帳(精神障害者福祉手帳)は、精神障害のため、長期にわたり日常生活や社会生活への制約がある人を対象とした手帳です。

発行するのは都道府県や政令指定都市・中核市などの自治体で、手帳を持つことで、障害者雇用での就労が可能になるほか、税制の優遇措置や公共料金の割引などの福祉サービスを受けることができます。

対象となる方

てんかん、発達障害などを含む精神障害により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方が対象となります。対象となるのは全ての精神障害で、以下のようなものが含まれます。

  • 統合失調症
  • うつ病、躁うつ病(双極性障害)などの気分障害
  • てんかん
  • 薬物依存症
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害(自閉スペクトラム症、学習障害、注意欠如多動症等)
  • そのほかの精神疾患(ストレス関連障害等)

*精神障害者手帳を申請、取得する上での注意点

・知的障害のみで、精神障害がない方については、精神障害者手帳の対象とはなりません(知的障害のみの方は、療育手帳を申請することができます。知的障害と精神障害を両方有する場合は、それぞれの手帳を申請することができます)。
・精神障害者手帳を申請するためには、その精神障害の原因となった傷病について、初めて医師の診察を受けた日(初診日)から6か月以上経過していることが申請条件の1つになります(当院受診前に(精神障害の原因となった傷病について)、他の医療機関に受診歴があり、そこから6ヶ月以上経過しており、当院受診までに継続して治療が行われていれば、当院に受診し、1ヶ月しか経過していなくても、申請ができます)。

6ヶ月以上経過した時点で、まずは、通院している医療機関の主治医に相談をしましょう。

・ただし、申請すれば必ず手帳がもらえるわけではありません。後述しますが、まずは、通院している医療機関の医師が作成した診断書が必要になります。必要書類を揃えた上で、役所で申請をするのですが、手帳を交付するかの判断は各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターで審査が行われ、認められると交付されます。

申請後、審査等のため、申請から結果を受け取るまでに紙形式は2か月程度、カード形式の手帳については2カ月半程度かかります。コロナ禍のため、いつもより少し時間がかかることもあるようです。

*医療機関によっては、診断書作成に時間がかかることがあります(当院は翌々日営業日以内までに作成します)。

*医療機関が手帳を交付できるかの判断は行っておりませんが、自分が対象となるかなどは当院では院長の山田までご相談ください。

精神障害の等級について

精神障害者保健福祉手帳の等級は、1級〜3級まであります。精神障害により、日常生活や社会生活に影響を与える度合によって等級が異なります。

1級は一番重症度が高く、続いて、2級、3級の順となります。

「統合失調症」、「気分(感情)障害」」、「非定型精神病」、「てんかん」、「中毒精神病」、「器質性精神障害」、「発達障害」及び「その他の精神疾患」のそれぞれに対して、状態を判断する指標が設けられております。

それぞれの疾患での判断基準は、「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」を参考にしています。

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4615&dataType=1&pageNo=1

私もこれらを参考にし、まずは、以下の7項目を評価します。

評価の基準はそれぞれの項目が、その方にとって、「自発的にできる」、「援助が必要な場合」、「援助があればできる」、「できない」のどれに当てはまるかを考えます。

*適切な食事摂取や洗面、入浴、更衣、清掃など身辺の清潔保持
洗面、洗髪、排泄後の衛生、入浴等身体の衛生の保持、更衣(清潔な身なりをする)清掃などの清潔の保持について、あるいは、食物摂取(栄養のバランスを考え、自ら準備して食べる)の判断などについての能力障害の有無を判断する。これらについて、意志の発動性という観点から、自発的に適切に行うことができるかどうか、援助が必要であるかどうか判断する。

*金銭管理や適切な買い物
金銭を独力で適切に管理し、自発的に適切な買い物ができるか、援助が必要であるかどうか判断する(金銭の認知、買い物への意欲、買い物に伴う対人関係処理能力に着目する)。

*規則的な通院・服薬
自発的に規則的に通院・服薬を行い、病状や副作用などについてうまく主治医に伝えることができるか、援助が必要であるか判断する。

*適切な意思伝達や協調的な対人関係
他人の話を聞き取り、自分の意思を相手に伝えるコミュニケーション能力、他人と適切につきあう能力に着目する。

*身辺の安全保持・危機対応
自傷や危機から身を守る能力があるか、危機的状況でパニックにならずに他人に援助を求めるなど適切に対応ができるかどうか判断する。

*社会的手続や公共施設の利用
各種の申請など社会的手続を行ったり、銀行や福祉事務所、保健所などの公共施設を適切に利用できるかどうか判断する。

*趣味・娯楽等への関心、文化的社会的活動への参加
新聞、テレビ、趣味、娯楽、余暇活動に関心を持ち、地域の講演会やイベントなどに参加しているか、これらが適切であって援助を必要としないかどうか判断する。

            東京都立中部総合精神保健福祉センターホームページより

これらの項目を評価した上で、最終的には精神障害による日常生活や社会生活への支障の度合いを判断します。

1級、2級、3級の各疾患共通の状態の目安は以下の通りになります。

1精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

申請方法(新規の場合)

  • 申請は、区市町村の障害福祉担当窓口(福祉事務所や福祉担当課)で行います。 以下のものを用意の上、窓口で申請手続きをしましょう。
  • 申請書→役所窓口にあります。
  • マイナンバーカードやマイナンバー通知書など、番号が分かるもの
  • 申請は、精神障害者本人が行うことが原則ですが、本人の意思に基づき、ご家族等の方が手続を代行することも可能です。
  • 3ヶ月以内に作成された医師の診断書→通院している医療機関に依頼をしてください。

  ※精神障害のため、障害年金や特別障害給付金を受給されている方は、診断書の 

   代わりに、「年金証書等の写し」で申請することができます (今後、マイナ 

   ンバーを記入することで「年金証書等の写し」は添付が不要となるようです)。

  • ご本人の写真(手帳作成時の写真です。縦4cm×横3cm、脱帽・上半身を写したもの) 
  • 印鑑
  • 宛名を書いた郵便はがき(交付予定日の通知を希望する方のみ)
  • 代理人が申請する場合は、代理権の確認書類(委任状や申請者本人の健康保険証など)、代理人の身元確認書類(個人番号カードや運転免許証)をご用意ください。

  詳細は区市町村窓口に確認をお願いします。

  • 申請が認められると「精神障害者福祉手帳」が交付されます。

*申請に必要なものではありませんが、R2年10月1日以降に手帳の申請を行う場合は、従来の紙形式に加え、カード形式での作成ができるようになっております(カード形式の場合、紙形式と比較すると、2Wほど時間が余分にかかります)。

すでに手帳をお持ちの方については、2年ごとの手帳更新時、等級変更時及び他の道府県からの転入時に、紙形式からカード形式に切り替えることができます。

実際に患者さんに見せて頂きましたが、紙形式と比べると、少しコンパクトでした。

更新の場合★

手帳の有効期限は原則2年です。有効期限の3ヶ月前から更新の手続きができます。

申請書、診断書(あるいは年金証書の写し)、写真、現在持っている手帳の写し、

印鑑などを持参の上、更新をしましょう。

2年に1回の更新のため、忘れがちですので、失効に気をつけてください。

受けることができるサービス・メリット(R2年11月現在)

*受けることができるサービス

東京都で受けることができるサービスは以下になります。

自治体により細かい部分で違いがありますので、お住まいの自治体に確認をしてください(タクシー利用券の交付やガソリン代の助成の制度がある自治体もあります)。

東京都立中部総合精神保健福祉センターホームページより

★メリット★

・障害者雇用での就職活動ができます。

国のサポートもあり、企業では障害者雇用を進めています。

障害者雇用は精神科や心療内科に通院しているだけではなく、手帳を持っていなければ応募をすることができません。ハローワークなどでも、手帳を持っていなければ、障害者枠での求人の紹介してもらえません。

手帳があるから、障害者雇用にした方がというわけではありませんが、障害者雇用として就職した場合、自分の能力と適正に応じた仕事をすることができる、通院日や治療に配慮がある、周囲からの理解が得やすい、など無理なく仕事を続けることができます。

ちなみに、手帳を持つことで、不利益が生じることはありません。仕事に限らずですが、手帳を持っていることを会社や相手に伝えなかったからといって、罰則や手帳を取り上げられる、職場に連絡があるなどのことはありません。障害が軽減すれば、手帳を返すことや、更新を行わないこともできます。 

以上、精神障害者手帳について説明させていただきました。

今後は障害年金や精神疾患、小児科・児童精神科から成人精神科へのトランジションなどについても、説明させていただこうかと思っています。

ひっそりInstagramをやっています。ご覧ください。

https://www.instagram.com/mitaka_kokoro_egao/

皆様の心が少しでも笑顔になりますように。

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