精神科と心療内科について

  • 2021.09.24

みなさんこんにちは

三鷹駅こころえがおクリニックの山田佳幸です。 当院は三鷹駅南口徒歩3分の精神科・心療内科のクリニックです。 


診療をしているとよく質問されることがあるため、精神科と心療内科の違いについて説明をさせていただきたいと思います。

 まずは、精神科、心療内科それぞれの科の特徴について説明させていただきます。


 *精神科とは

 精神科は、神経科、精神神経科などと呼ばれることもあります(神経内科=脳神経内科は内科の中の専門分野の1つのであり、精神科とは扱う疾患が異なります)。

 精神科は心の不調や心の症状に対して、診断や治療を行う診療科になります。

 具体的には不安やイライラ、気分の落ち込み、落ち着かなさなどの気分の問題や妄想や幻聴などの精神症状、物忘れや集中力、注意力の困難さ、コミュニケーションの問題や不眠などに関する問題は精神科の対象となります。

 精神科は精神症状を中心とする病気や症状の診療をする場所になりますが、精神疾患や精神的な不調をきたしている場合の多くは、身体症状を伴っていることがほとんどです。

 そのため、身体症状が強い場合は初めから精神科を受診する方は少数です。まずは内科など、体の治療ができる診療科に受診をし、診察や検査の結果、異常がないことや治療をしても、中々よくならず、その後、精神科を受診される方が多くいらっしゃいます。


*心療内科とは

 心療内科とは、心理・社会的要因から引き起こされている身体の症状を扱う診療科になります。この身体の症状を中心とする病気のことを心身症といいます。

 当クリニックホームページ内「診療内容」内に”心身症”の説明があります。お時間があればご覧ください。

https://kokoro-egao.net/psychosomatic.html

 日本心身医学会はこの心身症に対しての説明を1989年にしております。それによると、「器質的な身体病変を認めるか、あるいは病態生理が明らかで、独立した身体疾患とされており、その発症や経過に心理社会的因子の関与(心理社会的因子と自律神経系、内分泌系、免疫系などの機能的変化と相関)が認められる病態)」と説明しております(現代臨床精神医学より)。

 少し専門的な用語が多いため、簡単に説明すると、「身体の病気や症状がありながら、その発症や経過に心理的なストレスや環境が密接に関わっているもの」ということになります。

 では、心理社会的因子(心理的ストレスや環境要因)とは何かというと、例えば、性格(神経質な性格、心配性な性格など)やその方の行動パターン(いつも周りに合わせてしまう、必要以上に無理をしてしまうなど)個人の要因や社会的なストレス(仕事の忙しさ、家族の病気、不幸、借金など)などのことになります。

 例えば、アトピー性皮膚炎は皮膚科に通院し、治療を受けます。しかし、発症後の経過を詳しく調べてみると、症状の増悪に心理社会的な要因が関係していることがあります。

 ある患者Aさんは学校を卒業後、就職しました。新しい環境で人間関係を作ることや、次々とくる仕事を覚えなければならない状況が長く続きました。その時期にはアトピーの皮膚症状が悪化し、普段の塗り薬や内服薬では効果が不十分になりました。

 このように、Aさんにとっては、新しい環境での人間関係や仕事を覚えることがストレスとなって、身体の病気の症状悪化に影響を来たしてしまいました。このように、身体の病気の(始まり)や経過に心理社会的な要因が関係しているものを心身症といい、このような場合は、心療内科への受診を考えるとい良いかもしれません。

上記以外でも、

・朝出勤しようとすると腹痛、下痢がひどくなり、外に出れない。

・夏休み明けや週明けに頭痛がひどく、頭痛薬を飲んでもよくならない。

・めまいや耳鳴りがひどくて耳鼻科で検査をしたが異常なしと言われた

・胃痛や吐き気がひどく、内視鏡検査をしても、軽度の所見しかなく、胃薬を飲んでもよくならない。

このような場合でも心療内科の受診を考えてみてもよいと思われます。


 では、精神科と心療内科の違いはどのようなとことでしょうか?また、どちらを受診した方がよいのでしょうか?


*精神科と心療内科の違い

 精神科・心療内科どちらも「こころ」が誘因となって生じる病気という点は共通しています。

 精神科と心療内科の違いは、その出現する症状にあります。

 ストレスの影響は心身の両方に現れます。

 その出現の仕方が、心の不調や心の症状が主な場合は精神科で診察、治療を行うことが多いです。

 一方で、頭痛やめまい、耳鳴り、血圧や消化器症状(胃腸症状)など、身体に主な症状が現れる場合は、心療内科で診察、治療を行うことが多いです。

 私はどちらかというと精神科を専門に診療を行ってきましたので、身体の疾患や症状自体の治療をすることは正直なところ、あまり得意ではありません。そのため、身体の疾患や症状がストレスや社会心理的要因からきているのであれば、それに対するアプローチや治療を行い、結果的に身体の症状の軽減を図るという方法を取ってゆきます。

 ただし、身体症状が重い場合や長く続く場合は、一旦内科等で診察をお願いすることもあります。理由としては、ストレスとそれとは関係なく実際の身体の病気の発症や悪化が重なることがあるからです。

 初めからストレスが原因と決めつけて診療を行うもあまり状態が良くならず、後々、ストレスとは関係の少ない病気が見つかったっということも稀ではありますが、あるからです。

 では、どちらに受診をした方がよいか?ということですが、一般的には「精神症状が中心」の場合は精神科を受診するべきで、「身体症状が中心」の場合は心療内科を受診するべきと言われております。

 ただ、心療内科だけを専門に治療を行っている医療機関は私の印象としては、少なく、大学病院や大きな病院ではありますが、私たちのような小さなクリニックでは少ない印象を受けます(すいません。しっかり調べたわけではありません)。

 そのため、精神科・心療内科両方を標榜(掲げている)している医療機関に受診するとよいかもしれません。

 以上、今回は精神科・心療内科の違いについて説明をさせていただきました。


 パソコン操作に疎いのですが、少しずつ慣れてきた気もします。今後も皆様に読みやすいよう、工夫をしながらブログを続けてゆきたいと思っております。

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皆様の心が少しでも笑顔になりますように。

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