就労継続支援・就労移行支援について

  • 2021.11.28

みなさんこんにちは。 三鷹駅こころえがおクリニックの山田佳幸です。 当院は三鷹駅南口徒歩3分の精神科・心療内科のクリニックです。 


今回は就労継続支援・就労移行支援について説明してゆきたいと思います。


厚生労働省の報告では、障がい者の雇用者数はここ10年で大幅に増加しています(図1)。しかし、就職1年後の職場定着率は

知的障害者:68.0%、精神障害者:49.3%、発達障害者:71.5% となっており、3割~5割程度が離職しております。


図1

                https://www.mhlw.go.jp/content/000605985.pdf 厚生労働省H Pより

図2

              https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000469913.pdf (厚生労働省HPより)


障がいのある方は、仕事を探すことの大変さに加え、就職が決まっても、その仕事を継続するために就職前・就職後の適切な支援やサポートが必要です。


現在日本には、就労をサポートするサービスとして、以下のものがあります。

・就労継続支援(障がい者の職業訓練や生活活動の支援)

・就労移行支援(一般企業への就労を目指し職業訓練、職場探し・職場への定着の支援)

・就労定着支援(就労移行支援後も一定期間サポートし、職場定着を促す)

今回はこの3つのサービスについて説明をしてゆきたいと思います。


*就労継続支援とは

就労継続支援とは、障害者総合支援法に基づくサービスです。一般就労の難しい障がいのある方に向けた、職業訓練や生活活動を支援するサービスで、職業訓練の提供と就労環境の提供といったサービスの提供が行われます。

就労継続支援には大きく就労継続支援A型、就労継続支援B型の2つのサービスがあります。就労の場所を提供するということは共通していますが、どのような支援を行うか、どのような人が対象なのかで、A型を利用するか、B型を利用するかを検討します。

利用にあたっては、療育手帳、精神障害者手帳が必要です。お持ちでない場合は、自立支援医療制度の申請や主治医の診断書があれば利用ができます。お気軽にご相談ください。


*就労継続支援A型

・障がいのある方で、一般就労が難しい方に対して職業訓練や生活活動を提供するサービスです。

・A型はその事業所と雇用契約を結ぶため、給与も支払われます。原則として最低賃金が保証されます。

・就労継続支援A型の利用を希望する場合は、各自治体の障害福祉課やハローワークで事業所を探します。その後、見学や体験を行なった上で、雇用契約を結びます。


★対象となる方

労働者として働きながら、同時に訓練も受けて就職のための知識・能力を身につけていきます。ここから更に就労移行訓練を経て、一般企業への就職ができるように支援を行います。

具体的には以下のようになります。

・就労移行支援事業を利用したが、一般就労ができなかった方

・特別支援学校を卒業し、就職活動を行ったが、雇用に結びつかなかった方

・就労経験があるも、サービス利用時点で雇用関係の状態にない方


★年齢 

18歳~65歳未満


★利用できる期間 

利用期間に制限はありません


★仕事内容

一般就労と変わりませんが、一般就労に比べて比較的就労時間が短い場合が多いです(4−8時間程度)


★メリット

・福祉のサポートを受けながら働き、自分に合った仕事や作業を見つけることができる。

・フルタイムで働けば、「固定給」として、地方自治体の定める最低賃金以上の収入を得ることが出来ます。
・支援者が常に職場にいるため、一般就労への移行や就労移行支援利用などについても支援を受けることができる。


★A型の利用を考えている場合は、主治医の相談し、障害福祉課やハローワークなどから紹介を受けることが出来ます。


*就労継続支援B型

・就労継続支援A型の仕事内容が難しい障がい者、年齢・体力などから一般の企業で働くことができなくなった人が対象です。

・訓練や、リハビリの側面が強く、作業などを行った分に応じた報酬が発生します(A型と異なり、事業所と雇用関係は結びません)。


★対象となる方

① 企業等や就労継続支援事業(A型)での就労経験がある者であって、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった者

② 50才に達している者または、障害基礎年金1級受給者

③ ①および②に該当しない者であって、就労移行支援事業者によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者。

B型に通所をしながら、その後の通所場所(就労継続支援A型や就労移行支援の利用など)を目指していきます。


★年齢 

年齢制限はありません。


★利用期間

利用期間に制限はありません。


★仕事内容 

軽作業が中心となります。


★メリット

・体力的に職業生活を送るのが難しい重度の障害者でも働ける可能性がある。
・年齢制限がなく、高齢の方でも利用することができる。
・事業所の職員が今後の支援などについてもサポートを受けることが出来る。
・利用者の能力に合わせた仕事が提供されるため、自分のペースで無理のない範囲で行うことができる。

・通所頻度も、週に1ー5日の間で調整をすることができる。

★B型の利用を考えている場合は、主治医に相談後、B型事業所の見学を行い、障害福祉課に相談しましょう。


*就労移行支援とは

・障害総合支援法に基づく障害福祉サービスの1つになります。

・障害のある方が働くために必要なスキルを身に着けるため、トレーニングや就職活動のサポートを受けることができるサ

 ービスです。事業所で訓練を受けながら一般企業への就職を目指します。

・利用をする前に、多くの施設では見学や体験ができます。


★就労移行支援事業所を利用することのメリット

・定期的に通所をする中で、トレーニングや体力作りができる。

・仕事を始めた後も必要な自分の症状や特性とうまく付き合う力を身に着けることができる。

・通所することで、ビジネスマナー、コミュニケーションの練習、PCを活用したプログラム、面接対策、履歴書の書き方などの訓練を行うことができる(職業訓練)

・事業所への通所に加え、実際の職場で実習をすることができる。

・就職後の相談や環境調整依頼や職場の方から話を聞くなど、継続して仕事ができるようにサポートを6か月間(最大3年)受けることができる(職場定着支援)。

・その人の特性に応じた職場を探すために、一般企業やハローワーク、障害者職業センターなどと連携し、利用する方に合う職場探しのサポートを行う


★就労移行支援を利用する際の注意点

・職業訓練や就職支援メニューなどが自分と合わない可能性がある(見学、体験で自分に合うか確認しましょう。複数の事業所を見学してみても良いかもしれません)

・アルバイトなどを短期間でもしていると、原則その間は(雇用されたとみなされ)就労支援を受けることが出来ない。

★就労移行支援事業所を利用するために

通院するためには精神障害者手帳または自立支援医療の申請あるいは主治医からの診断書のどれかが必要です。

★年齢 18歳~65歳未満。

★利用可能期間 原則として2年。(最大12か月の追加が可能)

★利用料金 前年度の世帯収入の状況により、無料で利用できる場合と、自己負担が生じることがあります。

交通費 原則自己負担ですが、市区町村によっては補助が出ることもあります。

昼食・賃金は原則としてありません。


以上、今回は就労継続支援・就労移行支援について説明させていただきました。


参考文献:

厚生労働省 障害者の就労支援について

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000797543.pdf

厚生労働省 各支援機関の連携による障害者就労支援マニュアル

https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000822237.pdf

厚生労働省 改訂版・就労移行支援事業所による 就労アセスメント実施マニュアル

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000084412.pdf


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皆様の心が少しでも笑顔になりますように。

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