診断書・傷病手当について

  • 2022.05.29

みなさんこんにちは。 三鷹駅こころえがおクリニックの山田佳幸です。 当院はJR中央線 三鷹駅南口徒歩3分の多摩地域にある精神科・心療内科のクリニックです。


あっという間に5月も後半となり、あと数日で6月。もうすぐ梅雨ですね。


今回は精神科・心療内科で作成される診断書や、休職中に必要となる(ことが多い)傷病手当について説明させていただきます。


★診断書とは★

診断書とは、医師が作成する公的な書類のことです。その方の症状や所見、治療内容などを記載する書類で、診察を行った医師にしか作成ができません。

精神科・心療内科の場合、診断書は通院を証明するような内容の診断書、学校や職場に配慮の検討をお願いする診断書、休職が必要な旨を作成する診断書などを作成することが多いです。

休職する際に、なぜ診断書が必要になるかというと、休職をするためには、会社に休職が必要な内容を記載した診断書を提出しなければならいことが多いからです(会社の就業規則で義務図けられていることがほとんどです)。


当院では診断書を作成する際は、必ず診察を受けていただき、診断書を作成する必要があるかの判断を行っております。そのため、内容や状態によっては診断書を作成できない場合がありますのでご注意ください。診断書作成が必要と判断した場合でも、記載できること、できないことがあるため、その点も説明させていただき、患者様に了承を頂いた上で、作成をします。そのため、無診察で診断書を作成することは行っておりません。


診断書には特に決められた形式はありませんが、精神科・心療内科では一般的に、診断名(あるいは状態像)を記載し、初診日の記載、現在の状態、休職が必要な際は休職が必要な期間などを記載します(昨今は企業や学校でも、合理的配慮を行うために、その旨を記載した診断書の提出をするよう、ご本人経由で依頼を受けることもあります)。

休職の診断書を作成する場合、原則として、休職開始日と終わり日を記載するようにしております。


また、休職の診断書を会社に提出したからと言って、その期間は必ず休まないといけないわけではありません。

例えば、6月1日~6月30日まで休職が必要な旨を記載した診断書を受け取り、会社に提出したとします。その場合、必ず、6月30日まで休まないといけないかというと、そういう訳ではありません。しっかり休息が取れ、病状も改善し、会社側とも復帰後の環境調整が済んでいるなどの状況であれば、6月20日~復帰可能であるといった内容を記載した診断書を作成し、会社に提出していただき、会社側が復職可能と判断すれば、復帰することができます。

*ここで注意する点は、復帰可能であるという診断書を医療機関が作成すれば、100%復帰できるという保証はないということです。復帰の最終的な判断をするのは会社であるからです。状態や復帰の準備が十分でないと会社側から復帰の許可が出ないことがあります。

(あくまで私の印象ですが)復帰の許可が出ない場合は、会社と定期的な連絡が取れておらず、会社側がその方の状態を十分に把握できていないために、急に復職の希望を伝えても、すぐには復帰は難しいという判断をされてしまう場合が多いです。

休職後、状態が回復し、落ち着いて生活ができるようになってきたら、復帰後、どのように仕事に仕事をするか、勤務時間や残業時間などの相談を会社側とすることも意識しましょう。


逆に、期間内に復帰ができる状況ではない場合は、無理に復帰をするのではなく、休職延長の診断書を作成します。

ここでも注意する点があります。休職の診断書を書いたからといって、医療機関の指示通り、休職が続けられる訳ではありません。休職は、その会社の就業規則で取得できる期間が決まっているからです。こちらも、休職が決まった際などに確認をしておきましょう。


★傷病手当金について★

休職期間中は仕事ができない状態のため、給与はもらえないことがほとんどです。しかし、傷病手当金の受給することができる場合があります。勤務先の健康保険(社会保険)に加入していること、休職が必要な状態であり、仕事をすることが出来ない状態である場合など、いくつかの条件があります。休職する際に、会社の人事課や総務課などからアナウンスされるが多いと思います。ただ、会社が全て手続きを行ってくれるわけではありません。後述する、ご自身で記載しなければいけない書類や医療機関に作成を依頼する書類などがあるため、その点はご自身で作成や手続きを行わないといけません。お辛い状態ではあると思いますが、ご家族などのサポートももらいつつ、手続きを行うようにしましょう。

医療機関で記載が必要な書類は会社により、1か月に1枚であったり、まとめて1枚であったりと様々です。書類の記載が必要な際は、来院時に受付に必要書類を提出いただくか、診察時などに山田にお渡しください。原則当日作成し、お渡しいたします。

*有給休暇を取得し、休んだ期間(給与が発生している期間)については、傷病手当金を受給することはできません。また、任意継続被保険者(退職後などに、任意で退職前の健康保険を継続している場合)も受給はできません。


〇傷病手当金が支給される期間〇

最長1年半になります。

これまでは支給を開始した日から最長1年半で、この期間に復職し、給与が発生した日があっても、その期間が差し引かれることはありませんでした。つまり、1度休職し、2カ月間傷病手当を受給した場合、復帰をしても、始めに傷病手当を受給してから、1年半経過すると、その後休職をすることがあっても、傷病手当を受給することはできませんでした。

しかし、2022年4月から傷病手当金の支給される期間の計算方法が変わりました。

支給開始日から通算1年半に変更となりました。そのため、支給開始日から1年半を超えても、通算で1年半になるまで繰り返し、支給を受けることができるように制度が変更されました。

つまり、何度休職をしても、トータル1年半は傷病手当を受給することができるようになり、休職が必要な方としては、以前より安心して休むことができるようにな変更になっております。


支給される金額〇

賃金の3分の2程度の受給ができます(以下の式で支給額が決まります)。

1日あたりの傷病手当金=直近の継続した12か月の平均標準報酬月額÷30日×2/3

傷病手当開始以前の健康保険加入期間が12カ月に満たない場合は、以下のいずれか低い金額が受給できます。

・傷病手当の支給が開始される日の属する月からさかのぼって、直近の継続した各月の標準報酬月額の

 平均額

・全被保険者の標準報酬月額の平均額

また、出産手当、労災保険、障害厚生年金・障害手当金、老齢(退職)年金などの受給を受けている場合は額が変わります(これらの手当があった際の額については、勤務している会社にご確認をお願いいたします)。

傷病手当金の申請後、普段の給与日の2~3か月後に支給されます。


〇申請に必要な書類(傷病手当金支給申請書)について〇

傷病手当金を申請する場合、「傷病手当支給申請書」を作成し、申請を行わなければなりません。

申請用紙は、加入している保険組合によって書式が少し異なりますが、内容に大きく差はありません。全国健康保険協会(協会けんぽ)の傷病手当支給申請書のPDFを載せておきます。参考にしてください(協会けんぽ以外の保険組合では書式が異なりますのでご注意ください)。

同ホームページ内の作成の手引きのPDFを載せておきます。


k_shoute_n2204.pdf (kyoukaikenpo.or.jp)


202201けんぽ協会_手引き_A4HP支部用_印刷用.indd (kyoukaikenpo.or.jp)


この申請書は休職する方本人が記載しなければならない部分と事業主(会社側)が記載する部分、医師が記載する部分があります。医師が記載する部分に関しは、山田が記載し、原則当日にお渡しいたします。お気軽にご依頼ください。また、文書料は保険がきくため、国が決めた料金となります。3割負担の方は1枚300円となります。


申請する際の注意点としては、傷病手当申請書には、事後申請となることです。申請する期間が経過した後でないと、医療機関では書類の記載ができないからです。例えば、2022年5月1日~5月31日までの傷病手当金の申請をする場合、

6月1日以降に書類作成の依頼をお願いいたします。また、申請する期間に1度も診療実績がない場合(外来の診察がない場合)は、その間の申請書の記載はできません(診療をしていないため、休職が必要であったかなどの判断ができないためです。ご了承ください)。

申請する期間に関しては、月1回がほとんどですが、数か月まとめて1回、すべての期間をまとめて1回など、事業所により様々です。ご確認ください。


休息が必要な際にしっかりと休むことは必要ですが、休息期間中の経済的な保証があれば、安心して療養や治療に専念ができます。休職となった際は傷病手当についても会社に確認をしてください。


以上、診断書・傷病手当について説明をさせていただきました。

少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。


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皆様の心が少しでも笑顔になりますように。

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