精神科・心療内科で使用する薬剤の副作用について   その3

  • 2022.10.10

うつ病で使用する抗うつ薬の副作用について

みなさんこんにちは。 三鷹駅こころえがおクリニックの山田佳幸です。 当院はJR中央線 三鷹駅南口徒歩3分の多摩地域にある精神科・心療内科のクリニックです。


朝晩の温度差が激しく、体調管理が難しい時期ですね。季節の変わり目でもあり、こんな時は心の調子も崩しやすい時期です。皆様お気を付けください。


最近は、精神科・心療内科で使用する薬剤の副作用について、疾患別に説明をさせていただいております。しばらくはこのシリーズでブログ作成を続けてゆきたいと思います。


前回は双極症(双極性障害、躁うつ病)で使用する抗精神病薬・抗うつ薬(少しだけ) について

詳しくは前回のブログをご参照ください。

精神科・心療内科で使用する薬剤の副作用について   その2


今回はうつ病で使用する抗うつ薬の副作用について説明をしてゆきたいと思います。

抗うつ薬は、主にうつ病に対する治療薬ですが、それ以外にも、強迫性障害(強迫症)、パニック障害(パニック症)、社交不安障害(社交不安症)、月経前症候群(PMS,PMDDなど),

外傷後ストレス障害(PTSD)などに対して使用することもありますが、日本国内で保険適応のある病名はパロキセチン、セルとラリンのみです。

*副作用についてですが、内服すると必ず副作用が出るという訳ではありません。過度に心配なさらないでください。また、全ての副作用を記載しているわけではありません。比較的認めやすい副作用、注意すべき副作用を中心に記載しておりますので、その点もご了承ください。

*副作用は飲み始め、容量変更時、急な中断などのタイミングが特に注意が必要です。お薬が開始となった際、上記の時期は気を付けていただき、何か変化や心配な点がある場合は遠慮なくご質問ください。

*副作用が出現した際は、原則、減量や中止をします。ただ、飲み続けることで副作用が目立たなくなる場合もあります。また、他の薬剤に変更が難しい場合は副作用止めなどを内服し、継続していただくこともあります。こちらも心配なことなどがある場合はご相談ください。


★抗うつ薬の種類について★

抗うつ薬にはいくつかの種類があります。ちなみに抗うつ薬には依存性はありません。

*抗うつ薬は種類が多いので、1つ1つ見てゆくと時間がかかってしまいます。そのため、ブログの最後に主な抗うつ薬の副作用をまとめたものを載せてあります。参考にしてください。


*三環系抗うつ薬(tricyclic antidepressants: TCA)

一般名商品名用法添付文書上の適応病名
クロミプラミンアナフラニール1日1~3回うつ病・うつ状態、遺尿症、ナルコレプシーに伴う情動脱力発作
ノルトリプチリンノリトレン1日2~3回うつ病・うつ状態
アミトリプチリンアミトリプチリン、
トリプタノール
分割経口投与うつ病・うつ状態、夜尿症、末梢性神経障害性疼痛
イミプラミントフラニール、
イミドール
分割経口投与うつ病・うつ状態、遺尿症
トリミプラミンスルモンチール分割経口投与うつ病・うつ状態
ロフェプラミンアンプリット1日2~3回うつ病・うつ状態
アモキサピンアモキサン1日1~数回うつ病・うつ状態 
*2023年2月に出荷停止予定です。
プロチアデンプロチアデン1日2~3回うつ病・うつ状態

★三環系抗うつ薬の副作用★

三環系抗うつ薬は副作用も多く、第1選択薬ではありませんが、効果も期待できるため、切り札的な薬剤として、現在も使用することがあります。

主な副作用や注意すべき副作用は以下の通りです。


*精神神経系症状

眠気、めまい感などが認められることがあります。

眠前に投与するなど内服する時間を工夫することもありますが、あまりに強い場合は減量や中止を検討します。


*抗コリン作用(アセチルコリンの働きを抑えることで出現する副作用)

口渇、便秘、眼圧上昇、排尿困難などの症状があらわれる場合があります。

口渇は口をゆすぐ、ノインシュガーのアメ、ガムなどを噛むなどして唾液分泌を促す方法で対処してもらうことがあります。

便秘に関しては、食生活や水分摂取量の見直しや運動などを心がけてもらいます。それでも改善がない場合は下剤や整腸剤の投薬を検討します。

眼圧上昇が抗うつ薬内服により生じる場合があります。緑内障がある方は注意が必要ですが、緑内障のタイプによっては問題なく服薬ができることが多いため、眼科の先生に確認をとってもらった上で、開始します。

排尿困難があると尿が出にくくなります。特に男性の方で前立腺肥大などがあると尿の出にくさがさらに悪化してしまうことがあるため、処方は控えます。排尿障害に対する副作用止めのお薬もありますが、そのお薬の副作用もあるため、私の場合は、排尿障害がある場合は、減量、中止をすることが多いです。


抗ヒスタミン作用(H1受容体拮抗作用)による副作用

抗ヒスタミン作用による、眠気、食欲亢進、体重増加などがみられます。

これらが出現した際は、内服の時間帯を変える、食生活、運動などの工夫をしてもらいますが、減量、中止することも多いです。


*肝臓への負担

肝酵素(AST、ALT)が上昇することがあります。三環系抗うつ薬に限った話でないため、複数お薬を内服している場合は注意が必要です。定期的に採血をすることをお勧めします。


*注意すべき副作用

・心血管系の副作用

末梢血管の収縮を妨げる作用が出現することがあり、起立性低血圧(立ちくらみ)が出現することがあります。もともと起立性低血圧の傾向がある人、血圧が低い方、利尿剤を内服している人は特に注意が必要です。
頻脈(脈が速くなる)ことや心電図上、QT延長という所見が出現することで不整脈が発生することがあります。

QTとは心電図波形の一部分を指しております。心臓が収縮し始める時が心電図上のQ波、弛緩した時がT波にあたります。Q波が出始めてからT波の終わりまでをQT時間といい、これが通常よりも延長した状態をQT延長といいます。

定期的に心電図を行い、不整脈の有無やQT時間を確認し、QT延長など、なんらかの所見がある場合は中止や減量・他の薬剤への変更を検討します。


・悪性症候群

悪性症候群は、頻度は低いものの、薬の飲み始め、減量などを含む用量が変わったとき、急な中止、脱水状態の時などに起きやすいといわれています。

発熱、反応が鈍くなるなどの意識の障害、震えや筋肉の強いこわばり、心拍数や呼吸数の増加、

筋肉の組織が壊れることにより腎臓に負担がかかることがあります。

これらの症状が出た際はや疑わしいときは原因薬剤の中止及び、身体的な管理や治療がが必要となります。


*四環系抗うつ薬

一般名商品名用法添付文書上の適応病名
マプロチリンルジオミール、
マプロチリン
分割経口投与うつ病・うつ状態
ミアンセリンテトラミド分割経口投与うつ病・うつ状態
セチプチリンテシプール、
セチプリンマレイン酸
分割経口投与うつ病・うつ状態

★四環系抗うつ薬の副作用★

四環系抗うつ薬は抗うつ効果はそれほど強くないため、第1選択薬となることはありません。

副作用は三環系抗うつ薬と比べると強くはありません。

主な副作用は以下の通りです。


*抗コリン作用(アセチルコリンの働きを抑えることで出現する副作用)

口渇、便秘などの症状があらわれる場合があります。

口渇は口をゆすぐ、ノインシュガーのアメ、ガムなどを噛むなどして唾液分泌を促す方法で対処してもらうことがあります。

便秘に関しては、食生活や水分摂取量の見直しや運動などを心がけてもらいます。それでも改善がない場合は下剤や整腸剤の投薬を検討します。

抗ヒスタミン作用(H1受容体拮抗作用)による副作用

抗ヒスタミン作用による、眠気、食欲亢進、体重増加などがみられます。

これらが出現した際は、内服の時間帯を変える、食生活、運動などの工夫をしてもらいますが、減量、中止することも多いです。


*心血管系の副作用

末梢血管の収縮を妨げる作用が出現することがあり、起立性低血圧(立ちくらみ)が出現することがあります。もともと起立性低血圧の傾向がある人、血圧が引くいい人、利尿剤を内服している人などは特に注意が必要です。


*精神神経系症状

眠気、めまいが出現することがあります。

これらが出現し、生活に支障が出るようであれば減量、中止を行います。

眠気に関しては、不眠がある方に睡眠薬の代わりに眠前に投与することもあります。


*選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors:SSRI)

一般名商品名用法添付文章上の適応病名
フルボキサミンデプロメール、
ルボックス、
フルボキサミン
1日2回うつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害
パロキセチンパキシル、
パキシルCR、
パロキセチン
1日1回うつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害(パキシルCRはうつ病・うつ状態のみ)
セルトラリンジェイゾロフト、
セルトラリン
1日1回うつ病・うつ状態、パニック障害、外傷後ストレス障害
エスシタロプラムレクサプロ1日1回うつ病・うつ状態、社会不安障害

選択的セロトニン再取り込み阻害薬

SSRIは三環系抗うつ薬と比較すると副作用が少なく、十分な効果が期待できる薬剤です。セロトニン系に作用する薬剤であるため、副作用としては、主に吐き気・下痢・不眠・性機能障害などが出現することがあります。

主な副作用や注意すべき副作用は以下の通りです。


*吐き気・下痢

セロトニンの受容体が脳にあることで抗うつ効果や抗不安効果などが期待できますが、消化管(胃や腸など)にもセロトニンの受容体があるため、吐き気や下痢症状が現れることがあります。これらの副作用は投与初期に生じやすいですが、しばらくすると自然に軽減することがあります。軽度であれば内服を継続することもあります。しかし、副作用が強く出る場合は、無理せずに中止をしてもらいます。

状態によっては胃薬や制吐剤を併用することもあります。


*不眠・眠気

SSRIはヒスタミン受容体をブロックする働きがあるため、眠気が出ることもあります。一方で別の受容体に作用すると不眠が生じることもあります。真逆な副作用ですが、個人によって出現する場合としない場合があります。眠気が出る場合は、夕方や眠前に内服をする場合や不眠がある場合は朝に内服をしていただくことがあります。それでも改善がなく、生活に支障がある場合は減量や中止をします。

また、効果は十分にあり、不眠が認められる場合は、状況によっては睡眠薬を使用することもあります。


*抗コリン作用(アセチルコリンの働きを抑えることで出現する副作用)

口渇、便秘、眼圧上昇、排尿困難などの症状があらわれる場合があります。

口渇は口をゆすぐ、ノインシュガーのアメ、ガムなどを噛むなどして唾液分泌を促す方法で対処してもらうことがあります。

便秘に関しては、食生活や水分摂取量の見直しや運動などを心がけてもらいます。それでも改善がない場合は下剤や整腸剤の投薬を検討します。

排尿困難があると尿が出にくくなります。特に男性の方で前立腺肥大などがあると尿の出にくさがさらに悪化してしまうことがあるため、処方は控えます。排尿障害に対する副作用止めのお薬もありますが、そのお薬の副作用もあるため、私の場合は、排尿障害がある場合は、減量、中止をすることが多いです。


*性機能障害

性欲低下、射精障害、勃起障害などが生じることがあります。

なかなか相談しにくい副作用であり、診察時にも私も積極的に確認をしないこともあります。しかし、性機能障害が生じると日々の生活のQOLが下がります。遠慮せず、診察時に相談をしてください。

直接相談しにくい場合は、web問診に記載頂いてもかまいません。診察時に私から尋ねるようにします。


*その他の注意すべき副作用

不整脈、アクチベーション症候群、離脱症状について。

不整脈はSSRIでは不整脈が生じることは極めてまれですが、注意は必要です。

定期的に心電図を実施し、不整脈や不整脈の予兆となるような所見(QT延長など)の有無を確認します。

アクチベーション症候群(賦活症候群)は特ににSSRIの投与初期や用量を変更した際に生じることのある副作用です。

SSRIは内服を継続することで血中濃度が安定し、効果が出現しますが、投与初期は血中濃度が安定しにくいため、不安・焦り・イライラなどが増悪してしまうことがあり、これをアクチベーション症候群(賦活症候群)と呼びます。

対策としては、急に増薬などせずに、慎重に少しずつ増やしていくことが有効です。

アクチベーション症候群が出現した際は、他の薬剤を使用し、対処することもありますが、中止し、症状の消退を待つことが私の場合は多いです。

また、若い年齢の方は注意して使用する必要があります。

セロトニン症候群

セロトニンを増強する薬(SSRIなど)の服用初期に生じる副作用です。発熱や発汗、頻脈、高血圧、筋緊張、アカシジア(主に手足のむずむず)、興奮、けいれんなど出現します。めったに起きませんが、注意が必要です。対処としては、薬剤の中止です。中止することで24時間以内には症状は消失することが多いです。

離脱症状(中止後症状)は他の抗うつ薬と比較し、SSRIやSNRIは比較的よくみられます。抗うつ薬を継続して内服していた方が、何らかの理由で急に服薬を中止・減量することで出現することがあります。以下のような症状が出現することがあります。

不安感、不眠、イライラ感や落ち着きのなさなどの症状や手の震え、手足のしびれるような感じ、電気が流れたようなビリビリとした感覚やめまい、吐き気、だるさ、耳鳴りなどの身体症状が現れることもあります。

そのため、抗うつ薬を減量する際は、緊急の場合を除いて、ゆっくり減量をしてゆきます。離脱症状が出現した際は、軽度な症状であれば、そのまま経過を見ると多くは数週間で改善します。しかし、症状の重さによっては一旦抗うつ薬の内服を再開し、そこから徐々に減らしてゆくことで離脱症状も目立たなくなります(0.5~1錠ずつ、十分期間(おおよそ1-2週間)かけて減らす、最終的には1日~2日に1度内服し、中止をするなど)。


*セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(Serotonin Norepinephrine Reuptake Inhibitor:SNRI)

一般名商品名用法添付文書上の適応病名
デュロキセチンサインバルタ、
ヂュロキセチン
1日1回朝食後うつ病・うつ状態、
次記疾患に伴う疼痛:糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症、変形性関節症
ベンラファキシンイフェクサー1日1回食後うつ病・うつ状態
ミルナシプラントレドミン、
ミルナシプラン
1日2~3回食後うつ病・うつ状態

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬

現在はサインバルタ、イフェクサーが主流で、トレドミンを新規で使用することはほとんどありません。サインバルタは痛みに対する効果もあるため、整形外科でも処方されることがあります。

SNRIはSSRIと同様、他の抗うつ薬と比較し、副作用は少ないとされています。しかし、セロトニン系に作用することで起きる、嘔吐・下痢、不眠・性機能障害などが生じる可能性があります。詳しくはSSRIの項目をご覧ください。

また、セロトニン系に加え、ノルアドレナリン系の作用により、血圧上昇頻脈排尿障害が起きることもあります。

いずれも状態次第ですが、副作用が出た際は減量や中止、場合によっては副作用止めの薬剤を使用することもあります。


*ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant:NaSSA)

一般名商品名用法添付文書上の適応病名
ミルタザピンリフレックス、
レメロン、
ミルタザピン
1日1回就寝前うつ病・うつ状態

ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬

ミルタザピンははSSRIやSNRIでみられる嘔気や下痢などといった副作用は起きにくいです。全般的に副作用は少ない薬剤ですが、他の抗うつ薬と比較すると眠気、食欲増加や倦怠感といった抗ヒスタミン作用による副作用が出現しやすいです。そのため、うつ病・うつ状態の方で、不眠や食欲低下の目立つ方にその改善も図る目的で使用することがあります。

副作用については内服することで軽減することもありますが、眠気やだるさが強い場合や食欲増加に伴う体重増加が目立つ場合は、減量や中止、他の薬剤に変更を行います。


*セロトニン再取り込み阻害/セロトニン受容体調整薬(Serotonin reuptake inhibitor and serotonin modulator:S-RIM)

一般名商品名用法添付文書上の適応病名
ボルチオキセチントリンテリックス1日1回うつ病・うつ状態

★セロトニン再取り込み阻害/セロトニン受容体調整薬★

ボルチオキセチンは2019年発売された新しい抗うつ薬です。副作用は他の抗うつ薬と比較すると少ないですが、嘔気や下痢といったセロトニンに関係する副作用に加え、眠気、頭痛などが生じることがあります。

内服を続けることで副作用が軽減する場合もありますが、程度により減量や中止、他の薬剤に変更することや、副作用に対して、対処療法的に副作用止めの薬剤を使用することもあります。


*その他の薬剤

一般名商品名用法添付文書上の適応病名
トラゾドンデジレル、
レスリン、
トラゾドン
1日1~数回うつ病・うつ状態
スルピリドドグマチール、
スルピリド
分割経口投与うつ病・うつ状態、統合失調症、胃潰瘍・十二指腸潰瘍
ブレクスピプラゾールレキサルティ1日1回経口投与統合失調症、うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)

★その他の薬剤★

・トラゾドン

あまり抗うつ効果は強はありません。副作用としては、眠気や頭痛、めまいが出現することがあります。そのため、不眠のある方に対して、睡眠薬的な役割を期待して使用されることがあります。しかし、眠気や頭痛、めまいなどが強い場合は、減量や中止を行います。


スルピリド

抗うつ薬というカテゴリーには入りませんが、もともとは胃薬として開発された薬剤ですが、少量で抗うつ効果、高容量で抗精神病薬の効果があることがわかり、現在も使用されることがあるため、紹介させていただきます。

副作用としては、高プロラクチン血症、錐体外路症状があります。

・高プロラクチン血症はプロラクチンが高値になると、生理不順や母乳が出る、胸が張るなどの症状が出現することがあります。

高プロラクチン血症が疑われる際は、採血をし、プロラクチンの数値を測り、高値の場合、基本は減量や中止、他の薬剤への変更にて対処をします。

錐体外路症状(錐体外路障害)

スルピリドはドパミンを遮断する作用があり、過剰に遮断されると以下の症状が認められることがあります。

・薬剤性パーキンソニズム(ふるえ・筋肉のこわばり、小刻み歩行など)
・アカシジア(むずむず、ソワソワしてじっとしていられない)
・急性ジストニア(筋肉の異常な収縮が起き、舌が出てしまう、食いしばってしまい、口が引かない、首が勝手に曲がってしまう、眼球が上に上がってしまうなどが現れます)
・ジスキネジア(口をもぐもぐ動かす、舌を左右に揺らす、歯を食いしばる、目が閉じられない、手足が勝手に小刻みに動くなど、自分の意志で止めることのできない動き(不随意運動)です)

これらの症状が出現した際は、可能であれば、原因となっている薬剤の減量、中止、他剤のを検討します。

副作用を抑える薬剤もありますが、スルピリド自体がそれほど効果の強い薬剤ではないため、副作用止めを併用してまで使用を続けることは(個人的には)あまりしません。

・レキサルティ

エビリファイを改良して、セロトニンに対して強く働き、エビリファイよりも控えめですが、控えめにドパミンにも働きます。抗うつ薬にて十分な効果が得られない場合、抗うつ薬と併用し、症状の改善を図ることが出来ます。2023年12月末に適応が追加されました。

副作用は他の薬剤と比較すると出現しにくい問われていますが、下痢や嘔気、体重増加、頭痛、アカシジア(そわそわして、じっと落ち着いていられない状態)等があります。


*主な抗うつ薬の副作用のまとめ*

Canadian Network for Mood and Anxiety Treatments (CANMAT) 2016 Clinical Guidelines for the Management of Adults with Major Depressive Disorder: Section 3. Pharmacological Treatmentsより一部改変し引用

以上、うつ病で使用する抗うつ薬の副作用について説明させていただきました。

次回は統合失調症で使用する抗精神病薬の副作用に関する副作用についての説明を行ってゆく予定です。


参考文献

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

医療用医薬品 添付文書等情報検索 – PMDA

https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline_sokyoku2020.pdf

日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ大うつ病性障害

精神科治療薬の副作用:予防・早期発見・治療ガイドライン

精神科治療学22巻 増刊号 星和書店

<特集>気づきにくい向精神薬の副作用

精神科治療学 34巻5号 星和書店

ストール精神薬理学エセンシャルズ 神経科学的基礎と応用 第4版

メディカル・サインエンス・インターナショナル

専門医のための臨床精神神経薬理学テキスト

日本臨床精神神経薬理学会専門医制度委員会 星和書店

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