身体症状症について
- 2023.12.11
みなさんこんにちは。
三鷹駅こころえがおクリニックの山田佳幸です。当院はJR中央線 三鷹駅南口徒歩3分の東京都多摩地区にある精神科・心療内科を標榜しているクリニックです。三鷹市、武蔵野市の方をはじめ、周辺の市区町村の方や、神奈川県、埼玉県などからも来院いただいていおります。
だいぶ時間が空いてしまいました。すっかり季節は冬になり、空気が澄んで、気持ちよい時期ですね。
本当は生活記録表や自律神経についてブログを作成しようと思っていたのですが、地域の医療関係者の勉強会で発表をしたり、その他もろもろ診療に必要な調べものなどをしていたため、その準備で中々ブログを上げることが出来ませんでした。申し訳ありません。
前回は“抗不安薬の副作用について”を説明させていただきました。
詳しくは前回のブログをご覧ください。
精神科・心療内科で使用する薬剤の副作用その9 – 三鷹駅こころえがおクリニック ブログ (kokoro-egao.net)
その代わりと言ってはなんですが、少し前に某出版社から教育関係の方が見る解説原稿の執筆の依頼と、掲示用紙面の監修のがあったため、その内容をブログにしたいと思います。依頼をしていただいた理由としては、(おそらく)小児科・児童精神科から成人精神科への移行(トランジション)にも力を入れているから?のようでした。
僕が作成した記事党派、高校生ぐらいの方はそのうちどこかで目にするかもしれません。
★身体症状症とは★
身体症状症とは、身体に症状があり、その症状や健康を過剰に心配し、極端に不安を感じ、日常生活にも支障を来してしまう疾患です。
身体症状が長期間続き、また、自分は何らかの重篤な病気なのでは?という不安が続くため、医療機関に何度も受診します。しかし、異常がないか、あってもその症状に見合う程の所見はありません。身体症状は体の様々な部位に現れ、心理的なストレスにより症状が変化することがあます。中にはうつ病や不安症、発達症など、他の精神疾患が合併している場合もあります。
身体症状が主な困りごとであるため、初めから心療内科や精神科に受診する方は稀です。
★原因★
明確な原因はわかっておりません。
しかし、環境要因や心身の疲労、人間関係などでストレスや葛藤を無意識に自分の中で抑え込んでしまい、それが身体症状となって現れるとものと考えられています。
完璧主義や神経質な性格傾向など、その人の物事の考え方や感じ方、ストレスを感じた時の対処の仕方なども影響しているといわれています。
★症状★
代表的な症状は以下になります。
身体の部位 | 症状 |
疼痛症状 | 頭痛、腰痛、関節痛など |
全身症状 | 疲労感、倦怠感など |
消化器症状 | 嘔気、腹部膨満感、腹痛、下痢など |
循環器症状 | 胸痛、動悸、胸部違和感など |
呼吸器症状 | 息苦しさ、のどのつかえ感など |
神経症状 | しびれ、めまいなど |
★治療★
環境調整や精神療法(認知行動療法など)です。必要に応じて薬物療法を行います。
身体的な問題はないということを理解、納得することが大切です。しかし、身体症状が続くことへの強い不安を感じています。苦痛の理解と共感的な対応を試みることが大切です。一方で、症状があることで周囲から心配してもらえるなどの心理的メリットが生じる場合があります。詐病や仮病とは異なりますが、症状の出現が慢性的なストレスに対する1つの適応パターンであることもあります。特に児童思春期年代の子供は言語化能力が未熟なため、症状を通して自分を表現している場合もあります。治療を行う際は周囲の理解やサポートが必要となります。
また、身体症状だけに注目せず、環境面や人間関係でのストレスなどがないかを確認し、症状が悪くなるきっかけや状況、症状が良くなる因子を明確にしてゆきます。症状の悪化するストレスについての理解や対処を考えることで、心理的な負担は軽減され、症状も軽減されます。
不安や気分の落ち込みが目立つ場合は抗不安薬、抗うつ薬などが有効な場合があります。
★先生方へお願いしたいこと★
・身体の異常がないにも関わらず身体症状が長引く場合は身体症状症も疑い、精神科・心療内科への受診の検討をお願いいたします。中には他の精神疾患が隠れている場合もあります。
・身体症状だけにとらわれず、学校内での様子や対人関係なども注意してみていただけると助かります。
・精神科・心療内科に受診している場合、多くは、進学・就職後も継続した治療が必要です。成人期医療への移行がスムーズにできるよう、卒後の通院先の確認などのサポートをお願いいたします。
以上、身体症状症について説明をしました。
次回は生活記録表か自律神経についてまとめたいと思っております。
少し早いですが、メリークリスマス、よいお年を。
ひっそりinstagramをやっています。ご覧ください。
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皆様の心が少しでも笑顔になりますように。