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統合失調症

統合失調症とは

統合失調症とは、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く病気で、その原因は脳の機能に問題があると考えられています。
統合失調症の発症には、国や地域、民族、性別などによる差はほとんどみられません。有病率は人口の約1%(100人に1人程度)であり、珍しい病気ではありません。
脳の機能が一部正常に働かなくなることで、幻覚や妄想といった陽性症状と意欲の低下、活動性の低下、外部に興味がわきにくくなるなどといった陰性症状、集中力、記憶力、問題解決能力などに支障が出る認知機能障害が症状として認められます。
統合失調症は慢性疾患であり、長い経過をたどります。10代後半〜30代に発症することが多く、稀に高齢になってから発症するケースもあります。
統合失調症は自分が病気であるという自覚を持ちにくい疾患の1つです。病状を悪化させいないためにも自分の病気のことを知った上で治療を続けることが大切です。

統合失調症の原因

統合失調症の発症の原因ははっきりわかっていませんが、下記のような仮説があります。

ドパミン仮説

脳をはじめとする神経系の機能に障害が起きる病気と考えられており、脳内の神経伝達物質であるドパミンやセロトニンなどが発症に関係があると言われています。

ストレス・脆弱性仮説

ストレス・脆弱性仮説は、様々な要因が積み重なり発症するのではないと考えられている仮説です。遺伝、脳のトラブル、性格や気質などといった元々の要因である「脆弱性」に、環境やライフイベント、病気といった日常で生じるストレスが重なり発症するのではないかと考えられています。

統合失調症の症状

発症当初は、「陽性症状」が主な症状であることが多いです。徐々に「陰性症状」や「認知機能障害」が目立ち、生活に支障をきたします(時に陰性症状が主体で、時に陽性症状を認める経過をたどる場合もあります)。

陽性症状:あるはずのないものが現れる症状
  • 実際にない音、声が聞こえる
  • 監視されている、盗聴されていると感じる
  • 他人から危害を加えられていると感じる
  • 悪口を言われていると感じる
  • 自分が責められている、騙されていると感じる
  • ネットやテレビなどで自分のことを言っている
  • 他人が自分の心を読めると感じる
  • 話題がとりとめもなくあちこちに飛ぶ
陰性症状:あるべきものがなくなってしまう症状
  • 自宅にひきこもりがちとなる
  • 以前は楽しめていたことに関心がなくなる
  • 表情が乏しくなる
  • 人間関係に関心を示さなくなる
  • 感情の変化が乏しくなる
  • 周りのことに興味、関心がなくなる
  • 部屋が荒れがちになる、身なりや衛生面が無頓着になる
認知機能障害:集中力、記憶力、問題解決能力などの障害
  • 1つのことに集中できない
  • 指示通りに物事が出来ない
  • 相手の話が理解できない
  • 忘れっぽい
  • 気持ちや考えが整理できない

統合失調症の診断

統合失調症を正確に診断するような検査は存在しません。患者さんが訴える妄想や幻覚などの陽性症状や陰性症状を詳細にうかがい、診断を行います。
甲状腺機能障害、脳炎などでは統合失調症に類似した症状を呈することがあります。疑わしい場合は、検査を行い、除外をした上で診断を行います。

統合失調症の治療

統合失調症の治療は薬物療法と心理社会的な治療(リハビリテーションや精神療法)を組み合わせて治療を行います。

薬物療法

統合失調症は慢性疾患です。まず、症状の改善や、進行を抑える目的で、薬物療法を行います。症状がよくなっても、再発を防ぐ目的で、内服を継続する必要があります。
統合失調症に用いられる主な薬剤は「抗精神病薬」と呼ばれます。抗精神病薬には幻覚や妄想などの陽性症状を改善する作用、不安感や不眠などの症状を改善する作用、感情や意欲の低下などの陰性症状を改善する作用などがあります。
抗精神病薬には様々な種類や剤型、副作用があるため、状態に合った薬剤を選択し、治療を続けます。
現在は抗精神病薬の中でも副作用の少ない非定型抗精神病薬で治療することが主流です。非定型抗精神病薬には以下のものがあります。

  • リスパダール®(リスペリドン)、インヴェガ®(パリペリドン)、ラツーダ®(ルラシドン)、ルーラン®(ペロスピロン)、ロナセン®(ブロナンセリン)
  • ジプレキサ®(オランザピン)、セロクエル®(クエチアピン)、シクレスト®(アセナピン)
  • エビリファイ®(アリピプラゾール)、レキサルティ®(ブレクスピラゾール)
  • 内服とは別に2週間〜12週に1度筋肉注射を行い、症状の改善や再発予防を図る持続性注射剤を使った治療法もあります(リスパダール、ゼプリオン、エビリファイ、ハロマンス、ネオペリドール、フルデカシン)。

抗精神病薬の再発予防効果

統合失調症は再発しやすい疾患であり、統合失調症の予後についてはいかに薬物療法を継続できるかにかかっています。内服を中断すると、2年以内に80%以上の方が再発するという報告もあります。
再発してしまうと、以前よりも病状が重くなることや、抗精神病薬が効きにくくなる場合があります。服薬は長期間に渡って必要となることを理解し、治療を続ける必要があります。
時に内服を減らしたい、やめたいと思うことは誰でもあると思います。そう思った際は、まずは相談ください。

心理社会的治療(リハビリテーションや精神療法)

統合失調症の方は社会生活のさまざまな場面で苦手さや不都合さを感じています。また、感情表現や人付き合い、日常生活の基本的なこと、リラックスすることなどにも困難を感じます。それらの能力を回復させるためにリハビリテーションが必要となります。
リハビリテーションは日々の生活の中でもできますが、デイケア、作業所などに通所することで、社会とのつながりを持ちながらリハビリを行うことができ、有効と考えられています。
当クリニックにはデイケア、作業所が併設されていないため、利用される際は他施設と連携して治療を進めてゆきます。
精神療法については「支持的精神療法」を行います。支持的精神療法には患者さんを精神的にバックアップする、といった意味合いがあります。患者さんが日々の生活の中で感じる不安や心配事を具体的に話し合い、解決の糸口を一緒に見つけていき、精神の安定を図り、日常生活の質を上げてゆきます。

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  • 院長/山田 佳幸
  • 診療内容/精神科・心療内科
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